●TRACY CHAPMAN:『TRACY CHAPMAN』(1988年)
Tracy Chapman Online - ホーム | Facebook80年代末期。
あらゆるものが「バブル」に浮かれていた最中で、
シンプルでストレートな彼女の音楽はその存在そのものが「奇跡」でした。
デビュー・シングルの「ファスト・カー」。
Tracy Chapman - Fast Car (Live 1989) - YouTubeBON JOVIの「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」と同じく
貧しい生活から抜け出したい!という
切なる願いが込められた「生活者目線」の歌。
しかも彼女の場合は黒人目線も加わる為、
そこには労働条件に人種差別が不可されるので
より「現実味」を帯びて我々にメッセージとして発せられます。
先の動画は彼女がグラミー賞授賞式で行ったパフォーマンス時のもの。
番組でもお話ししましたが
「白人主義」がはびこるアメリカ最大最強の音楽イベントにおいて、
彼女は地味な普段着、しかもギター1本という
これ以上ない「丸腰」でステージに立ちこの歌を歌いました。
次週でお話しするスザンヌ・ヴェガも同様ですが、
この時代に女性シンガー・ソングライターとしての立ち位置を
明確に保ちながら(過度にポップに寄せない)、
メジャー・シーンでキャリアを重ねていくことは大変な事だったと思います。
(それは今では更に大変になってますが。。。)
デビュー・アルバムの大ヒットの後、90年代と2000年代に彼女は
再び信じられないポテンシャルの名盤を残しています。
90年代の1枚が『NEW BEGINING』(1995年)。
Tracy Chapman & Eric Clapton - Give Me One Reason (1998) - YouTube映像はエリック・クラプトンとの共演によるタイトル曲のライヴver.です♪
このアルバムで彼女は2度目となるグラミー賞を受賞し、
1stでの成功が「時の流行り」で終わらなかったことを実力で示しました。
更に2000年代。
こちらはファン以外の方々にはほぼ認知すらされていない作品ながらも、
個人的には彼女の最高傑作だと信じて止まない
『OUR BRIGHT FUTURE』(2008年)。
Tracy Chapman - "Sing For You" (Official Music Video) - YouTubeこの曲を聴いた時、無条件に涙が流れて来て、
そのまま続けて何度も繰り返し聴いたのを覚えています。
素晴らしい曲だと思いませんか?
残念ながらここしばらくは新作リリース活動からは遠のいて久しいですが、
世の中の波に流されることなく、自分のペースで、
またアルバムを作る意味や必然が生まれた時には
新しい歌を聴かせて欲しいものです♪
●THE FAMOUS ARTIST:NEIL DIAMOND
Neil Diamond Official Websiteアメリカ・ポピュラー音楽界においては
「最重鎮人物」に間違いなく位置付けられている偉大過ぎるアーテイストです。
自らのヒット曲に留まらず、シンガー・ソングライターとして
数多くの楽曲提供による輝かしい成功の歴史を併せ持っています。
いまだに来日公演歴が無いことからも、
本国と日本との人気のギャップが伺い知れますね。。。
Neil Diamond - Sweet Caroline (Live At The Greek Theatre / 2012) - YouTube ↑
キャリアの中で最も有名なヒット曲:
「スウィート・キャロライン」(1969年)。
この世代のアメリカ人にとっては
「国家」に等しいくらいの歴史的重要楽曲になっています。
番組でご紹介したライヴ・アルバム『HOT AUGUST NIGHT』(1972年)には、
思いで深いエピソードがあります。
わたくしの洋楽の師匠と言える
福岡在住の偉大なるミュージック・マンの大先輩から、
ある時にこのライヴ・アルバムの素晴らしさを
熱く熱く語られたことがありました。
当時のわたしには「ニール・ダイアモンド」という文字は
自分の音楽辞書には無く、「懐メロ・シンガー」的な存在として
一生好きになることなど無い!と決めつけていた存在でした。
ところがその大先輩があまりにも熱くオススメされるものですから、
その熱意に負けて勇気を出してこのライヴ・アルバムを買い
何度も何度も聴き入りました。
正直、最初のころはどこが良いのかさっぱり解らず、
名盤と語られている作品とはいえ
失礼ながら買ったことを少し後悔していました。
ところが。
時が流れて、彼のアルバムが
キャリア初の全米1位を記録したニュースを耳にしました。
(『HOME BEFORE DARK』:2008年作)
その時「ん?そういえばライヴ・アルバム持ってたな。。。
久々に聴いてみようかな」とCDラックから引っ張り出して聴いてみると。
買った当時には何も分からなかったこのライヴ・アルバムの良さが、
まるで「別物」のように聴こえ、以来私の中で長い時間を経て
彼の偉大なる存在と楽曲の素晴らしさが
当たり前に感じられるようになりました。
「食わず嫌い」と同じくらい「聴かず嫌い」な音楽って、
みなさんにとってもたくさんあると思います。
私にとってのニール・ダイアモンドがそうであったように、
「今」は好きになれないけど、「将来」とんでもなく好きになるかもしれない!
そんなアーティストがもしかしたらあなたの目や耳が及ぶところで
「うごめいている」かもしれませんよ♪