そうだ、弁護士さんに聞いてみよう
毎週火曜日8:35~
福岡県弁護士会は「市民と共に」という目標をかかげ、福岡県内19か所に法律相談センターを開設しています。悩み事があればなんでも気軽に弁護士さんに相談してみましょう。
法律相談センター 0570-783-552 (ナヤミココニ)
第8回:2012年9月25日放送分 テーマ「離婚」
ご出演:福岡エクレール法律事務所 春田久美子先生
Q:今日は親権というものについて教えて頂きたいと思います。どちらが親権を持つかは、どのようにして決めるんでしょう?
A:これはとても多い相談です。経済力の多寡にかかわらず、子供がどちらの元で暮らすのが幸せなのか、健全に育成されるのかという視点にたって決められる。
Q:簡単に話しがまとまるものではありませんよね。
A:ときどき、自分の子供に「ママとパパ、どっちがいい?」と意見を言わせようとすることもあるが、そういうことで決まるわけではない。
Q:一度決められた親権が、何らかの理由で相手側に移るようなケースもあるのでしょうか?
A:例えば、状況がかわって、その人の元では子供を育てていくことができなくなったという事情が発生した場合は、手続きが必要だが、変わることはあり得る。
Q:親権を持たない親は、子供と会えるんでしょうか?
A:もちろん会えます。面会交流権とか面接交渉権と言って、あくまでもお子さんにとって、別れた親と会い続けることは必要なことだということで、親の権利、あるいは子供の権利として認められている。
Q:どれくらいの頻度で会えるのでしょうか?
A:例えば調停で解決した場合、月に1回程度となることが多い。
Q:面会する際、例えば週末を一緒に過ごそうとか、旅行に行くことはできるのですか?
A:話しあい次第だが、例えば夏休みや冬休みなど長い休みの間は宿泊付きの旅行も含めて会えるようにしようとか細かく協議して決められる。
Q:もしも、子供が会いたくないと言った場合はどうなるんでしょう?
A:こうしたケースはときどきある。面会は親の権利でもあるが、子供の権利でもあるので、お子さんが会いたくないと言っている場合は、控えておいた方がいいとアドバイスします。
Q:相手に合わせたくなくて、こっそり引っ越してしまうようなことってどうですか?
A:良くないと思います。例えば、養育費の支払いが滞っているからもう会わせたくない。という人も多いが、養育費の支払いと面会はまったくの別問題だし、転居する場合、きちんと転居先を伝えるよう話しあっておくことが必要。
Q:離婚した際、子供の名字とかはどうされているんでしょう?
A:学校生活を送る子供にとっては大きな問題。基本的には離婚すると旧姓に戻る。手続きをすると、結婚中名乗っていた氏をそのまま使うこともできるが、戸籍は母親だけまず別になる。子供と母親が同じ氏を名乗りたい場合、家庭裁判所の手続きをする必要がある。
Q:離婚について、弁護士に依頼した際の費用は、大体、お幾らくらいになるのですか?
A:親権だけの問題か、慰謝料、財産分与でもめているのか、そういったところで変わってくるが、一番シンプルな事案、お金の問題があまりなく、親権の問題と離婚を成立させたいだけの場合、おおよそ30万円くらいからということになる。
Q:正式に依頼するかどうか決める前に、相談だけすることはできるんでしょうか?
A:もちろん可能。だいたい、30分5000円に消費税という事務所が多い。相談して「調停は自分でやってみる」となることもあるので、まずは相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。
Q:特に子供との面会のことなどを考えると、弁護士さんと話しておいたほうがいいですね。
A:そうですね。手続きは自分でやったとしても、取り決めた約束事を公正証書とかの書類に残しておくためだけでも弁護士を使って頂きたい。
Q:弁護士費用を立て替えてくれる仕組みもあるそうですね。
A:経済的な要件を満たせば、金額を立て替えて、月々5000円なり10000円ずつ支払っていく仕組みもあるので、是非、ご相談ください。
第7回:2012年9月18日放送分 テーマ「離婚」
ご出演:福岡エクレール法律事務所 春田久美子先生
Q:今日は離婚の際の財産分与について教えてください。
A:慰謝料についての相談で多いのが、財産分与のこと。財産分与というのは結婚後に二人で共同して蓄えた財産がある場合に、例えば半分にわけようというもの。
Q:簡単に分けられるものばかりだといいのですが、そうじゃないものもありそうですね。
A:プラスの財産がある場合もあるが、マイナスの、例えば借金をどうやってわけるかという難しい問題がある。一番多いのが今住んでいる自宅のローンを返済中というケース。家をどうするか、ローンをどうするかという点で誤解が多い。
Q:実際、返済中のローンはどうなるのでしょう?
A:誰の名前でお金を借りているか?不動産の名義はどうなっているか?ご主人が債務者の場合、奥さんが連帯保証人となっているかどうか、このあたりが大事なポイントとなってくる。よくあるのが、女性の側が連帯保証人となっているが、離婚したら連帯保証人から外れられるか尋ねられるケース。しかし、連帯保証人は簡単には外せない。離婚とローンは別問題。
Q:連帯保証人というのは、ご自身が借りていると思った方がいいものなんですよね。
A:そうです。
Q:簡単に自分の借金を放棄できないのと同じで、連帯保証を外すのは難しいと。
A:金融機関の了解を得られればいいが、普通は連帯保証人がいて初めてそのお金を貸しているというケースが多いので、そこは金融機関との話しあいが必要。夫婦二人だけでは決められない。
Q:自宅の土地と建物の名義を、夫と妻で分けている場合もありますよね?
A:離婚した以上、関わりを絶ちたいと思っている人も多いので、その家に住み続けるのか、処分するのかと問われることが多い。
Q:離婚をきっかけに自宅を売るというケースも多いそうですね。
A:自宅を残した場合、誰がどういう形でローンを払っていくのか話しあいをまとめるのが難しくなる。
Q:最近、熟年離婚という言葉も聞きますが、年金などはどうなるんですか?
A:これについては新しい制度ができてだいぶたつが、手続きをすれば半分ずつもらえるようになる。
第6回:2012年9月11日放送分 テーマ「離婚」
ご出演:福岡エクレール法律事務所 春田久美子先生
Q:離婚の理由というのは、何となく相手が嫌いになった、というようなものでも良いのでしょうか?
A:何となくという理由では離婚できない。夫婦として破たんしているという主張がある場合は離婚が成立することもある。
Q:離婚イコール慰謝料というイメージがありますが、実際のところはどうなんでしょう?
A:「離婚」イコール「慰謝料」ではない。慰謝料というのは損害賠償のひとつ。離婚の原因を作った人、浮気をしたり暴力をふるうなどした場合だけ、慰謝料が請求できる。
Q:慰謝料をもらうには、その「悪いことをした証拠」も必要になってくるのでしょうか?
A:証拠は必要です。
Q:慰謝料の金額は、どのようにして決められるんですか?
A:結婚の年数や相手の社会的地位、経済力、浮気の場合はその回数や程度が勘案されて決まる。
Q:慰謝料とは別に「養育費」というものもありますよね?
A:「養育費」というのは、子供を養育する側に、離婚したあとも生活費として渡すお金。養育費は別れた奥さんのために払うものではなく、お子さんのために払うもの。
Q:「養育費」の金額はどのようにして決めるんですか?
A:目安となる表を使い、算出することが多い。例えば、小学校6年生のお子さんを抱え、30代くらいの方が離婚する場合。その人が収入ゼロで、ご主人が年収500万円とした場合、月々4万円から6万円くらいとなっている。ただ、現代の事情にあっていないという理由で、目安となる算定表を見直す動きもある。
Q:女性が働いている場合、養育費の金額は変わってくるのでしょうか?
A:収入に応じて変わる。
Q:養育費をめぐっては、トラブルも多いとお聞きしますが、そのあたりはいかがですか?
A:一番多いのは、約束された養育費が支払われないケース。ほかに、再婚したからもう払わないとか、相手側と連絡が取れなくなったり、無職になって支払えない等のケースもある。
Q:再婚した場合、養育費はどうなるのですか?
A:再婚しても親子の関係は変わらないので、養育費の支払いは必要。しかし、新しく扶養する家族が増えるため、一旦決めた金額を変える手続きがある。
第5回:2012年9月4日放送分 テーマ「離婚」
ご出演:福岡エクレール法律事務所 春田久美子先生
Q:離離婚するにはどうしたらいいのか、手続きについて教えてください。
A:離婚の手続きを、よく知らない人が多い。
離婚の手続きには、「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」という3つの種類がある。二人の話しあいで成立するものを「協議離婚」という。話しがまとまらないが、離婚したい場合「調停離婚」という手続きをとる。調停も話しあいの一種なので強制力はない。調停はあくまでも話しあいなので、成立するかは相手次第。どうしても離婚したい場合、裁判に持ち込み離婚を認めてもらう。
Q:感情的になったりして、お互いの主張が相容れないケースも多そうですね。
A:ほとんどがそういうケース。話しあい自体が成立しない場合が多い。
話しあうよう勧めても顔を見るのもいやという人もいる。
Q:「協議離婚」と「調停離婚」と「裁判離婚」。それぞれの件数は?
A:9割近くが協議離婚。裁判離婚はおよそ1%、残りが調停離婚。
Q:「離婚」にまつわる相談には、どんなものが多いんでしょうか?
A:景気が良くないことを反映しているのか、経済的な問題から離婚に発展するケースがある。携帯で離婚の証拠をつかむケースも多い。証拠として残りやすいし、人間関係のもろさも感じる。結婚して初めてようやくわかることも多いよう。