そうだ、弁護士さんに聞いてみよう

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毎週火曜日8:35~



福岡県弁護士会は「市民と共に」という目標をかかげ、福岡県内19か所に法律相談センターを開設しています。悩み事があればなんでも気軽に弁護士さんに相談してみましょう。

法律相談センター 0570-783-552 (ナヤミココニ)

第29回:2013年2月26日放送分 テーマ「消費者問題~オンラインッゲーム~」

ご出演:かばしま法律事務所 塗木麻美先生

Q:今日はオンラインゲームなどにまつわる問題についてうかがいたいと思います。オンラインゲームなどに関する相談といいますと、どのようなものが多いのでしょう?
A:「無料」だと思ってゲームを始めてみたら、次のステージに行くのにアイテムを買う必要があり、無料では遊べない仕組みになっていたりすることがよくある。もちろん、有料だとわかってやっている分には問題ないが、無料だと思っていたのに後で請求が来て問題となることがある。

Q:先生は先日、オンラインゲームに関する問題で新聞社から取材も受けられたそうですが、先ほどの「無料」だと思っていたのにお金がかかったというケースのほかに、どんなトラブルがありましたか?
A:芸能人と思いこませてメールのやり取りをさせ、金額を請求するケースや、占いを毎日メールで送り、それに依存するような状況を作り、もっと細かいことを知りたければお金がかかるという具合に段階的にお金を使わせるような仕組みもある。あるいは、子供さんが親御さんの知らないうちにクレジットカードを使ってアイテムを購入したり、無料だと思って子どもに遊ばせていたのに高額な請求が来たという問題もある。

Q:対処法を教えてください。
A:芸能人と思いこませてメールのやり取りをさせるケースや占いのケースなどは詐欺にあたることも多く、警察に相談に行くことも多い。まずは弁護士に相談していただきたい。

Q:具体的には幾らくらい支払ったケースがありますか?
A:中には占いに300万円も使ってしまった人がいるが、ある程度お金が返ってきたケースもある。

Q:子どもが勝手に親のクレジットカードを使ってしまった場合、子供が携帯電話でゲームをして高額な請求が来た場合の対処法を教えてください。
A:親のカードを子どもが勝手に使ってしまった場合、管理状況に問題がないと認められれば支払わなくて済む場合もある。次に、子どもが携帯電話でゲームをして高額な請求が来た場合ですが、ゲーム会社で上限を設けてある場合があり、それ以上は支払わなくてよいということもある。また、親が法定代理人がとして子どもの契約を取り消すこともできる。あきらめずにまずは弁護士に相談してほしい。

Q:それから、福岡県弁護士会では昨年の12月に「IT 110番」を開設していたそうですが、こちらにはどのような相談が寄せられていましたか?
A:福岡県弁護士会ではオンラインゲームのような新しい問題について詳しい弁護士が相談を受けるIT110番という機会を毎年実施していて、昨年11月の相談では、インターネットの掲示板に自分の名誉を侵害するようなものが載っていてそれを削除するにはどうしたらいいかという相談や、オンライゲームに関する相談、あるいは儲かるからといわれ、通信販売のサイトを開設したが、開設費用をとられただけでまったく儲からなかった、などという相談を受けた。

第28回:2013年2月19日放送分 テーマ「消費者問題~賃貸借~」

ご出演:かばしま法律事務所 塗木麻美先生

Q:これから引っ越しも増えてくる季節になりますが、今日は賃貸借をめぐる問題についてうかがいたいと思います。賃貸借に関する相談といいますと、どのようなものが多いのでしょう?
A:主に退去時の清算のことで問題となることが多いようである。敷金が返ってこないとか、敷金だけでは足りないと言われ、追加分を請求されたなどというケースのほか、新しい所に入居してみたら、騒音や近所の迷惑で相談を受けることもある。

Q:退去時に原状回復のための費用がかかるということで、敷金が一切かえってこなかったり、追加の費用を請求された場合、その請求通りに支払わなくてはいけないのでしょうか?
A:まずは入居時に取り交わした契約書を確認する。その内容がどうなっているかによるが、必ずしも言われた通りに支払う必要が無いこともあるので、何か疑問がある場合は弁護士にご相談ください。

Q:例えば賃貸物件に住んでいて、いざ引っ越すとなった場合、鍵を交換したり、場合によってはクロスを貼り替えたりもすると思うのですが、借り手としてはどこまで負担すべきものなんですか?
A:例えば鍵の交換費用は貸して側が負担するのが一般的。クロスの張り替えについては通常の汚れや経年劣化による汚れは貸し手側が負担するべきとされている。

Q:原状回復の費用に関して、借り手が何をどこまで負担すべきか、何かガイドラインのようなものはあるのでしょうか?
A:退去時にそういったトラブルが多いことから、国土交通省が原状回復を巡るトラブルに関するガイドラインを出している。そこでどこまでが貸し手の責任か、借り手の責任かをかなり細かく規定しているので、確認してみることをお勧めしたい。

Q:部屋を借りたり貸したりというのは、その地域によって結構、商習慣が異なるそうですね。
A:東京などでは2年に一度更新料が必要となることもある。福岡の場合だと更新料という話しはあまり聞いたことが無く、敷金が大体3カ月くらいというケースが多かったが、最近は敷金なしというケースも増えている。

Q:「騒音」に関しては実際に住んでみないとわからないことも多そうですよね?
A:下見に行っても夜間の状況などはわからないことが多いので、問題となることもある。

Q:例えば上の階に住む人があまりにもうるさかったりした場合、どのような対処法があるのでしょう?
A:あまりにも問題がある場合、基本的に管理会社や大家さんの側で対処する義務があるので、まずは管理会社や大家さんに相談するいとが大切。それでも直らなかったり、もっとひどくなる場合もあるので、そういった場合は慰謝料を請求できることもある。その際は騒音計や実際の騒音を録音するなど証拠を集めておくことも必要となる。

第27回:2013年2月12日放送分 テーマ「相続」

ご出演:かばしま法律事務所 塗木麻美先生

Q:相続に関する相談というと、どのようなものが多いのでしょう?
A:仲が良かった兄弟姉妹でも、もめることが多い。例えば、親の面倒をまったく見てこなかったのに法定相続分を求めるのはおかしいんじゃないかとか、逆に親の面倒は見ていたかもしれないけれど、親の貯金を勝手に使っていたのではないかとかともめることが多い。とくに、親の意思が分からない場合は、どういった事情があっても基本的には原則通り法定相続に従って分割するとされているが、なかなかうまくいかないことも多い。

Q:相続でもめないようにするためにはどうしたらいいのでしょう?
A:生前に遺言書を作っておくことがいちばん。

Q:遺言書を作る際、気をつけておきたいことといいますと、どんなことがありますか?
A:簡単なキットもいろいろあるが、日付などひとつ間違えたり、名前をワープロで打っただけで遺言書そのものが無効となってしまう。弁護士に相談して、公証役場で作れば間違いはない。

Q公証役場で遺言書を作る場合の費用の目安を教えてください。
A遺産が1000万円程度までであれば、2万円から2万5千円くらいで作ることができる。遺産の金額によって手数料が異なるので事前に確認する必要がある。

Q:こうした相続を巡る問題などを未然に防ぐため、弁護士会では「ホームロイヤー」という制度をすすめているそうですね。
A:家庭にかかりつけの医者がいるように、何かある前に気軽に相談できる弁護士さんをご家庭で持っておくのがホームロイヤーという制度。問題が顕在化する前に相談できる。

Q:ホームロイヤーはいくらくらいから頼めるのですか?
A:例えば月1回、面談や相談をしてもらえ、何かあったらいつでもかけつけてもらえるといった制度で大体月に1万円くらいで契約することができる。

第26回:2013年2月5日放送分 テーマ「労働問題」

ご出演:かばしま法律事務所 塗木麻美先生

Q:労働問題についてうかがいます。いま働いている会社から「解雇」すると告げられてしまった場合、まずはどうしたらいいのでしょう?
A:解雇には大きく2種類あり、普通解雇と懲戒解雇がある。普通解雇というのは就業規則に決められたことに該当する場合、使用者側が雇っていられませんというもので、懲戒解雇は労働者側に何か問題があった場合に懲罰として解雇されるというものになる。

Q:普通解雇の場合、どのような対処の仕方があるのでしょうか?
A:まず、解雇そのものが正当なものかどうか検討する必要がある。就業規則の解雇の要件に 沿っているかきちんと検討する。さらに、明日から来なくていいと言われ、そのまま次の日から解雇とはならず、解雇には1カ月以上の期間を定め、予告する必要がある。予告が無い場合は1カ月間の解雇予告手当がもらえるのでそのあたりもきちんと確認してください。

Q:解雇が認められた場合でも、退職金の上積みなど交渉する余地はあるのでしょうか?
A:その解雇が例えば人員削減やリストラなど、整理解雇に当たる場合は金銭的な補償を請求することも可能となる。

Q:懲戒解雇の場合の対処法はいかがですか?
A:懲戒解雇の場合は、労働者の側が懲戒されるようなことをしたかどうかがまず争われる。そういった場合、そもそもそ懲戒事由に当たるかどうか慎重に検討されるべきですので、弁護士に相談するなどして、本当に懲戒解雇にあたるのか検討する必要がある。

Q:例えば、売り上げが落ちてきて、社員の中で一番能力が低いからやめて欲しいと言われたような場合、整理解雇に当てはまる可能性もあるんですね?
A:その通りで懲罰対象に当たらないということになる可能性もあり、整理解雇・普通解雇に該当するかという判断になる。

Q:いざ解雇されるとなった際に、本来貰える筈だった残業代を請求する人も多いそうですね。
A:もちろん在職中にも払われていない残業代を請求することはできるが、辞めるとなったときに、残業代の請求を検討することが多い。労働基準法等で残業代の支払いについてきちんと定められているが、法律の決まり通りに払っている企業はそれほど多くない。

Q:大手企業でも係争となることがありますよね?
A:そもそも金額とか時間の面で争いになることが結構ある。

Q:残業代の未払いというと、一部のいわゆるブラック企業だけの話しと思われがちですが、実際はそうでもないんですね。
A:例えば、タイムカードを本当の勤務時間より先の押させている場合や、基本給の計算自体に本当はいれなければいけない手当の部分を入れていない可能性がある。

Q:残業代の計算などで何かおかしいなと思った場合、どうしたらいいのでしょう?
A:まずは勤務先の就労規則を確認して、残業代の計算方法があっているか確認する必要がある。また、タイムカードとかが実態とそぐわない場合は自分の手帳などに勤務時間を記録しておくと、証拠として採用されることもある。

Q:業種による違いなどはあるのでしょうか?
A:定時で働いている人しか残業代の請求を出来ないと思っている人も多いが、変則的な労働であるタクシーやトラックのドライバーさんでも残業代が請求できることもある。その場合も 働いた時間、運転した走行距離などを手帳などにメモしておくと重要な証拠となります。