そうだ、弁護士さんに聞いてみよう

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毎週火曜日8:35~



福岡県弁護士会は「市民と共に」という目標をかかげ、福岡県内19か所に法律相談センターを開設しています。悩み事があればなんでも気軽に弁護士さんに相談してみましょう。

法律相談センター 0570-783-552 (ナヤミココニ)

第33回:2013年3月26日放送分 テーマ「身近にある男女問題」

ご出演:萬年総合法律事務所 網谷 拓先生

Q:今月は身近にある男女間の問題についてうかがっていますが、今週は結婚や離婚をめぐる問題を取り上げます。結婚の約束をしていたのに破棄された、こんなときどうしたらいいのでしょう?
A:もう気持ちは戻らないでしょうから、きれいさっぱり当事者間の関係を清算するのが大事かと思います。

Q:そうした場合、結婚をキャンセルした相手に対し、慰謝料のようなものを請求することは可能なんでしょうか?
A:場合によっては可能です。場合によって可能と言いますのは、結婚が交際中にどれくらい当事者間において具体的なものとなっていたかによるからです。結婚に向けて両当事者が大きな期待を持っていた場合には慰謝料が請求できると思われます。

Q:結婚式直前になって、一方的に結婚をキャンセルするような、まるでドラマのようなケースが実際にあるらしいのですが、式場のキャンセル料などは折半するべきものなんでしょうか、それともキャンセルした相手が100%払うべきものなんでしょうか?
A:まず、法律関係としては結婚式場との関係と、キャンセルした相手との関係の二つに分けることが出来ます。結婚式場としては、お二人のどちらからでも、とりあえずお金が回収出来ればよいですから、契約の当事者となっている方にキャンセルの責任がどちらにあるかにかかわらず請求をすることとなります。そして、これについてはキャンセルの責任がない方も契約当事者である以上、キャンセル料は支払う必要があります。これに対して、支払ったキャンセル料は最終的に誰が負担するのか、これがお二人の問題となるわけですが、これについてはキャンセルに責任がある方が負担すべきとなります。支払に応じない場合には損害賠償請求等で対応することになるかと思います。

Q:今度は離婚についてお聞きしますが、最近、突然離婚を申し立てられるケースが増えているそうですね?
A:そうですね。別居などせず、いきなり離婚調停を申し立てられたと相談に来る男性がいますね。どうやら、その半年前から必要最低限のことしか口を利いてない、生理的に無理と言われるなど、申立をされる兆候はあるようです。

Q:よく、結婚するより離婚する方が何倍も大変、なんていう話しを聞くのですが、これはどうしてなんでしょう?
A:離婚は離婚届にお互いが判をついて円満に成立すればよいですが、これがうまくいかなかった場合は調停を行い、それでもだめな場合は裁判にて離婚を求める必要があります。裁判による離婚は、離婚事由が限定されているだけでなく、プライベートな部分が裁判で明らかになってしまうので心身共に相当な負担となります。

Q:離婚するにもいろんな理由があると思うのですが、例えば、性格が合わないから、といった理由でも離婚って成立するものなんでしょうか?
A:調停までは、当事者間の合意に基づき離婚するものですから何ら問題はありません。ただ、これが裁判になると、性格の不一致で離婚するというのは難しいですね。そもそも他人同士ですから、多少の性格の不一致はあるはずです。したがって、価値観の相違、性格の不一致で婚姻関係が破綻しているといえる場合でないと性格の不一致により裁判離婚はできません。

Q:最近、離婚する際の手続きで大きく変わったところがあるそうですね。
A:家事手続法が改正されました。これまで、相手方が遠方にいるとき、相手方の住所地を管轄する裁判所で離婚調停を行わなければならず、申立人が多額の支出を強いられるケースがありました。しかし、今回、電話会議システムというものが取り入れられまして、遠方の方で事情があって出頭できない場合には、あらかじめ裁判所に届け出ている住所地の電話に電話があり、電話にて離婚に関する話し合いができるようになりました。その他、多々改正点がありますので、詳しくは、家事調停手続の利用を考える際、弁護士に是非相談してみてください。

第32回:2013年3月19日放送分 テーマ「身近にある男女問題」

ご出演:萬年総合法律事務所 網谷 拓先生

Q:今月は身近にある男女間の問題についてうかがっていますが、今週は浮気や不倫をめぐる問題を取り上げます。早速ですが、結婚相手が浮気した場合、浮気相手に慰謝料を請求できるんでしたよね?
A:はい。婚姻共同生活の平和の維持という権利ないし法的保護に値する利益を侵害したため、損害賠償請求が出来るとされています。
その他、夫婦は他方に貞操を守るよう請求出来る権利があり、これを侵害したとして損害賠償請求出来るとの考え方もあります。いずれにせよ、請求できるというのが現在の裁判所のスタンスです。

Q:参考までにお聞きしますが、こうした場合の慰謝料の相場ってどの程度なのでしょう?
A:難しい質問です。500万円を認容した判決から、100万円程度の金額を認容したものまでさまざまです。それこそいくら請求出来るのか、一度,弁護士に相談するのが良いのではないでしょうか。

Q:もし結婚はしてなくて、例えば同棲中の場合だったらいかがですか?
A:交際期間・同棲期間などを考慮して、実質的に結婚しているのと変わらない関係にあれば、慰謝料請求も認められる可能性はあると思います。

Q:同棲もしていない、ただお付き合いしているだけの場合はいかがでしょう?
A:共同生活もなければ貞操を守る義務があるというのも難しいので、慰謝料請求は難しいかと思います。

Q:ところで浮気の証拠は、裁判ではどんなものが認められるのですか?
A:まず民事裁判では基本的にどんなものでも証拠として提出できます。どんなものが証拠としてでてくるかですが、まずはメールのやりとりですね。最近はラインでのやりとりを証拠として持ってくる方もいます。浮気を疑った方が調査会社に相手の尾行を依頼して、浮気相手とホテルに入る現場写真などの証拠を作成してもらい、これを裁判の証拠として提出することもあります。

Q:話しは変わりますが、相手が独身だと思って付き合っていたのに、奥さんがいてだまされた。こんな場合、相手の男性を訴えることはできるのでしょうか?
A:貞操権侵害として慰謝料を請求することは可能です。

Q:では、相手が結婚しているのは知っていたけれど、離婚するから、そうしたら結婚しよう、なんて言っていたのに、いつまでも離婚しない、こんな場合はいかがでしょう?
A:貞操権侵害には変わりないので、慰謝料を請求することは可能ではないでしょうか。
ただその方も、奥さんがいることを認識しながら不倫に及んでいるわけですから、ご自身も慰謝料請求されるおそれがあります。注意してください。

第31回:2013年3月12日放送分 テーマ「身近にある男女問題」

ご出演:萬年総合法律事務所 網谷 拓先生

Q:今月は身近にある男女間の問題についてうかがっていますが、今週は男女間のプライバシーをめぐる問題についてうかがっていきます。
A:プライバシーの問題だけでも,厄介なのに,男女関係が絡むと余計厄介ですね。

Q:ひとくちに男女間のプライバシー問題といっても、結婚している場合と同棲している場合、そのどちらでもなく、ただお付き合いしているだけの場合で変わってきますよね?
A:もちろんです。関わり合いの度合いが違いますのでプライバシーの範囲も変わってきます。

Q:例えば手紙を勝手に読まれてしまったような場合、罪に問うことはできるのですか?
A:その手紙が特定の方に対し宛てられたものであり、かつ封をしてある状態であれば、これを正当な理由無く開封すれば信書開封罪というものが成立する可能性があります。したがって、手紙が開封されていればこれを盗み見しても、民事の問題は別として刑法上罪に問われることはないでしょう。ただ、結婚している場合には、大方の人は配偶者の方が開封することを概ね了承しているでしょうから罪に問うのは難しいのではないでしょうか。同棲中の場合もパートナーが普段からポストに入る郵便物を管理している場合には、罪に問うのは難しいと思います。そうでない場合には罪に問われる可能性はあります。単なるお付き合いをしている場合には、結婚や同棲中と異なり,勝手に見て良いとの予めの承諾がないのが一般的でしょうから罪に問われる可能性があります。いずれにせよ信書開封罪は、被害者の方が警察に対し上記事実を被害申告しなければ警察は動きません。

Q:クレジットカードの利用明細など、プライバシーに関わるものは「親展」として送られてきますが、こうしたものを勝手に開封され、読まれてしまったような場合はいかがでしょう?
A:この場合も信書開封剤が成立しえます。

Q:手紙ではなく、携帯電話のメールなどを勝手に見られてしまった場合はいかがですか?
A:罪に問われることは現在の法律ではないでしょう。 刑法上は信書の開封に関してのみ罪に問うことを定めています。 さらに不正アクセス禁止法でもこれを罪に問うことはできません。これがパソコンのフリーメールでは扱いが少しことなりますが、詳細を知りたい方は、一度、相談に行かれることをオススメします。

Q:フェイスブックやツイッターなどのSNSを多くの人が利用していますが、こうしたものにも「プライバシー」の考え方って適用されるのでしょうか?
A:プライバシーは時代と共に考え方が変わってきています。昔は「私生活をみだりに公開されない権利」などと言われましたが、現在では「自己の情報をコントロールする権利」とされています。そうすると、自身の情報に関しどの部分まで開示するのかという点について、コントロールの必要がありますからプライバシーの考え方も適用されるのではないかと思います。

Q:例えば何らかの方法で相手に「ログインID」と「パスワード」を知られてしまい、勝手にログインされていたような場合はどうなりますか?
A:この場合には不正アクセス禁止法により、処罰される可能性があります。不正アクセス禁止法については、不正アクセス禁止法改正Q&Aで検索していただくとわかりやすくまとめられたものがでてきますので参照して下さい。

第30回:2013年3月5日放送分 テーマ「身近にある男女問題」

ご出演:萬年総合法律事務所 網谷 拓先生

Q:今月は身近にある男女間の問題についてうかがいます。今週は男女間の問題の中でも、お金を巡る問題についてうかがっていきたいのですが、例えば彼氏・彼女に貸していたお金が返ってこない。こんな場合、どうしたらいいのでしょう?
A:まずは、して欲しいときちんと話をすべきです。相手に分割払いでも返す意思があるのであれば、いくら借りているか、月々いくら分割払いするかを「覚書き」などの表題をつけた書面に残すと良いと思います。

Q:恋人同士の場合、借用書とかキチンとしないままお金を貸し借りする場合がほとんどだと
思いますが、そんな場合でも返してもらえる可能性はあるのでしょうか?
A:あります。結局、借用書などがなくて困る理由は、訴訟になった際、お金を貸したことが立証できないことにあります。そこで、借用書が無くても、自身の預金口座から相手の預金口座へ振込履歴、お金を貸したことの裏付けとなるようなやりとりがなされたメールの送受信などがある場合には、お金を返してもらえる可能性は十分にあると思います。

Q:ちなみに、お金の貸し借りって、時効とかあるのでしょうか?
A:法律上は、権利を行使することが出来るようになってから10年間行使しないときには、お金を返せという権利は消滅します。

Q:今は、結婚していないカップルの場合についてお聞きしましたが、例えば結婚している夫婦の場合にも、お金の貸し借りって成立するものなんでしょうか?
A:日本の民法は夫婦別産制といって、結婚期間中に自分名義で得た財産は、自分のものとする規定がありますから貸し借りは成立します。ただ、キチンと貸し借りの事実が分かるように借用書などを残しておかないと、仮に訴訟沙汰などとなった場合、夫が困っているから自分の預金から幾らかあげたんでしょう。すなわち贈与と認定されるおそれがあります。

Q:何かあったときのために頑張って貯めていた「へそくり」。これを見つけられ、勝手に使われてしまったような場合はいかがですか?
A:形式的には、窃盗罪が成立する可能性があります。ただ窃盗罪が成立する場合でも、刑法には親族間の犯罪に関する特例というものがありまして、「配偶者」が窃盗を犯した場合には刑を免除するとありますので結局罪に問うのは難しいでしょう。

Q:貯金を勝手におろされ、使われてしまった場合などはいかがでしょう?
A:窃盗罪が成立する可能性があります。ただ、口座の暗証番号を知っているということは、貯金をおろしてもいいと考えていたのではないかと客観的に判断され、警察が取り合ってくれない可能性が高いです。

Q:例えば同棲中のカップルの場合などはいかがでしょう?
A:最初のへそくりに関してですが、窃盗罪が成立する可能性があります。そして最高裁判所が内縁関係にまで刑の免除に関する規定を類推適用することはないと判断しておりますから窃盗罪に問える場合には免除の規定の適用はありません。ただ警察が恋人同士の痴話げんかとして取り合わない可能性が十分あります。やはり自身の財産は自身でしっかり守りましょう。

Q:お金の問題とはちょっと離れますが、付き合っていた相手に貸していたもの、例えば「クルマ」を貸していたのに返してくれないような場合、法的に対処することは可能でしょうか?
A:これは当然ながら返してもらえます。自動車の返還請求訴訟を提起することになります。